秘密保持契約に損害賠償の制限条項を入れない理由

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今日は秘密保持契約(NDA)の損害賠償責任条項についてです。

あなたは、相手方から提示されたNDAに、以下のような条項が含まれていたらどうしますか?

本契約に違反したことに一方当事者が他方当事者に対して賠償責任を負う損害の範囲は、相手方に現実にかつ直接的に生じた損害に限り、間接的損害、付随的損害及び逸失利益を含まないものとする。


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私が担当者であれば、

当社が情報を受けるだけの受領者側の場合はこのままにしておきますが、

情報を開示もする場合は消します。

情報が漏えいした場合に被る損害は、間接的なものが多いからです。

例えば、

情報が漏えいしたことの直接的な損害は、もっとも狭く解せば、

漏えい先が知ってしまうことですが、通常これでは損害にはなりません。

漏えい先が、その情報を新たに漏えいしたことにより、

営業秘密が他社に利用されるなどの損害が発生するわけです。

解釈の仕方によれば、このような損害は「直接的損害」ではないとも言われかねません。

また、情報が漏えいしたことを、新聞やテレビで放映されて企業の評価が落ちるという場合もあり得ます。

これはメディアが介在したことにより間接的損害となりうるだけでなく、

情報漏えいによる付随的な損害とも言えます。

上記のような損害は、情報漏えい事故には一般的に起こりうるものですが、

現実かつ直接的という範囲には入ってこないおそれがあるのです。

なので、NDAには、損害賠償の制限は入れないことが一般的です。

そうすると、日本法の場合、民商法に則れば足りるので、

わざわざ損害賠償責任の条項を入れないことが多いわけです。