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問題
いわゆる「事故物件」や、ワケあり物件を購入し、その物件に不備が
あった場合、購入者は、契約を解除したり、損害賠償することができるか?
回答
その不備を購入者が知らなかった場合、解除および損害賠償することが
できる可能性があります。
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法くん:事故物件が人気だそうだよ。
前居住者が中で亡くなったりした部屋のことをいうんだって。
「その事実」以外は、何も悪いことがないことと、相場が同じ条件の物件の半額相当だから、
魅力的だと思う人が多いんだって。
律さん:信じられない。「その事実」が他の魅力を覆い隠すほど不気味だから、半額なんじゃない。
法くん:たしかに、僕なら夜寝れなくなるからいやだけどね。
律さん:でも、事故物件だって気づかなくて借りる人もでてきそうよね。
そういう場合、たとえば後で自殺者がいたってわかったらどうしたらいいのかしら。
法くん:ええと。契約を取り消すか、無効を主張できると思う。
民法96条1項で、詐欺にあった人は契約を取り消すことができるって書いてあるね。
この詐欺には、言うべきことをわざと言わないことも含まれると解されているよ。
自殺者がいたということは、家を借りる人に対して当然言うべきだから、
詐欺にあたるので、賃貸借契約を取り消すことができると思う。
また、わざと言わなかった、とまではいかなくても、
自殺者がいたかどうかというのは、家を借りるかどうか判断するうえで重要な考慮要素だから、
自殺者がいないと思って借りたのに実は自殺者がいた、ってなったら、
民法95条によって、賃貸借契約は無効でしたっていうことができるね。
いずれの場合でも、すでに賃料を払っていれば、返還を要求できるよ。
ただし、すでに住んだ期間があれば、住むことによって得た利益は逆に返還しなきゃいけないけど。
SHIHO先生:そうですね。契約の解除はどうでしょうか?
法くん:契約の解除は、民法559条によって準用される民法570条によって可能だと思います。
ただし、賃貸借契約の解除は、一般の解除とは違い、民法620条に特則があって、それまでの
契約をなかったことにすることはできません。
これは、賃貸借契約が、一定の期間継続することを本質とする契約であるため、
解除の遡及効(遡って効果を生じさせること)を制限しているのです。
律さん:「自殺者がいた」という事実が、「隠れた瑕疵」にあたるのね。
解除に遡及効がなく、かつ損害賠償請求もできるから、取り消しとか無効主張よりも、
解除の方が有利なのね。
法くん:でも、こんなことにならないように、契約前にしっかりと確認することが一番平和な解決策だね。
SHIHO先生:ちなみに賃貸人が業者の場合、借主は、消費者契約法4条2項により、
民法よりも緩やかな条件で契約を取り消すこともできますね。
消費者契約法は特別法ですが、よく出てくる重要な法律ですので、調べてみてくださいね。