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家族や身内の人が、犯罪で警察に捕まってしまったとしましょう。
(ここでは、仮にAさんとします。)
これは、Aさんが逮捕されて、警察の拘置所に入っていることを想定しています。
(なおすべての犯罪が逮捕されるわけではありません。
その場合、自宅で普通に生活しながら警察の取り調べを受けることになります。)
そのとき、弁護士がついていたら、(ケースバイケースですが)だいたい、
以下のことを目標にして活動を行います。
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弁護士がいたら・・・
- 1.Aさんの身柄の解放
- 2.不起訴を求める
- 3.起訴された場合に無罪や、軽い罪を求める
そのために有効なのが
示談、すなわち被害を弁償して、被害者の方と和解することです。
要は、お金を払って許してもらうということです。
(贖罪寄付なんていうのもありますが、これは別物です。)
示談の方法
示談の手順の一例は以下のとおりです。
- 1.被害者の連絡先を、Aさんの捕まっている場所の検察官(≠警察)に聞く。電話でOK.
- 2.教えてもらえない場合は、決して犯罪を犯した家族には教えないからといって、被害者を説得してもらえないか頼む。
- それでもだめなら、被害者の弁護士の連絡先を聞く。
- それもいなければ、自分の連絡先を被害者に伝えてもらう。
- 3.被害者に、示談をしたい旨伝えて、示談金について了解を得る。
- 4.示談金、示談書、領収書をもって、被害者と示談をまとめる。
- 5.示談書を検察官に提出して、Aさんの身柄の解放(勾留請求しないか、勾留延長請求しない)、また不起訴を求める。
示談書に書いておくべきこと
- 1.示談金を支払い、被害者が受け取ったこと
- 2.被害者はAさんを許すこと
- 3.被害者とAさんとの間には、他に争いごとがないこと
※被害者がAさんを許してくれなかった場合は、2番は諦めて落とします。
示談金を受け取ってもらえない場合
被害者が示談金を受け取らない、といって
受け取ってくれなかった場合、示談を申し出たことを、
弁護士の報告書としてまとめ、検察官に提出します。
示談金として支払う意思のある金額を供託する(法務局に行って手続きします。)
ことも有益と考えられます。
お金を手放したことの証拠になりますから。
示談がなぜ有効なのか
示談が、釈放や刑罰を軽くするのに有効であることは、
法曹(裁判官、検察官、弁護士)の中では常識です。
一般人からみても、罪を償ったという意味で、
感覚的に有効だということはわかるのではないでしょうか。
ではなぜ有効なのでしょうか。
ちょっと勉強した方なら、起こされた犯罪について、後でお金を払ったからって、
当時の行為についての責任が軽くなるわけじゃないからおかしいのではないか、
と思われる方もいていいのではと思います。
(行為責任主義といいます。)
ただ、刑法は自首による刑の減免を認めていることからもわかるように、
(責任が軽くなるか否かは議論がありますが)事後的な行動について、
犯罪の重さが軽くなることを認めていると考えられます。
示談金を用意できない場合
お金がなくて示談金を用意できない場合、なすすべはないのかというと、
そうでもありません。
Aさんを、家族が引き取って監督する、という誓約書(身柄引受書)と、
Aさん自身、被害者と接触しないという誓約書と、
Aさんが反省しているという反省文を、
作成し、検察官に提出するのです。
そうすると、再犯のおそれが少ないとして、身柄を釈放されたり、
不起訴になったりする可能性が高まるからです。
身柄引受人がいない場合
Aさんを引き受けて監督できる環境すらない場合は、
勾留請求されて拘置所にいつづけ、また、起訴されてしまう可能性が高いです。
逮捕されて、罪がたいしたことないと思えば、検察官が釈放することもありますが、
逮捕されるような罪で、勾留請求されないのはまれだからです。
身寄りのなく、お金のない人は不利だということです。
最近は、そういうお年寄りが刑務所に入る率が上がっているそうです。
検察官や裁判官は、身寄りもお金もある人ばかりなのと、
被害弁償や身柄監督が無理である場合は、罪を軽くする根拠がないから
仕方ない面もあるのですが、
この刑事司法は何とかしたいところです。